平安時代の日常 その1:風俗博物館
「十二単を着られる場所」を探していた時
ここで 十二単体験ができるという情報がありまして
HPを確認したら どこにも「体験できる」とは書かれておらず
どっちなんだ
と 前々から気になっていた【風俗博物館】。
6月に行ってみようと思っていたらば
6月は『展示品入れ替えのため まるまる一か月休館』という
なんとも おおらかな博物館でして
7月に入り、ようやくの初訪問です。
場所は 先ほどの【美好園】から 少し北へ戻った新花屋町通
西本願寺に面した堀川通の斜め向かいの位置です。
【西本願寺】 ↓
博物館があるのは
井筒商店ビルの5階
という事でしたが
それらしきビルの看板には
【井筒法衣店】?
法衣って
お坊さんが着る、あれですか?
近づいてみると確かに
ウインドウの中に見えるのは
お坊さんが着る法衣・袈裟
仏具(大きなおりん・数珠・仏像)
お供え物(積み上げた干菓子など)
・・・・・
ともあれ 風俗博物館へ。
建物の中央よりやや右寄りに
『風俗博物館』
の案内を見つけました。
入って左が
法衣などの販売スペース
右手にエレベーターがあり
風俗博物館へは
このエレベーターで直行する事になります。
社員の方らしい人が同乗されて
途中で降りていかれましたが
途中は普通に倉庫みたいな部屋でした。
5階に到着。
扉が開くと すぐ目の前には
源氏物語で源氏の住まいとなった
六條院を再現した展示が広がっています。
入口の受付で 入場料500円を払うと
解説のパンフレットを渡してくださり
『写真撮影OKですので どうぞご自由に』と。
ミニチュアといえど、造りは丁寧。
お雛様より やや大きめの人形に
丁寧に作られた装束が着付けられています。
牛車にしても、建物にしても 調度品も かなり 精巧に造られているので
じっくり眺めていても、飽きません。
手前の緑の車体の牛車は
檳榔毛(びろうげ)の車
位の高い人しか乗れない
『高級車』です。
この日は
五節の舞姫候補の
娘さんを乗せております。
日常使い、あるいは
5位以下の身分の人は
網代車(あじろぐるま)という
ヒノキを編んだ外装の車を使用。
(奥の白っぽい車体の牛車)
面白いのは、建物を
いろんな角度から眺められるところ。
簾の外側から見ると 几帳の下から
少し 着物の裾がこぼれ出ていますが
内側から見ると
結構 人口密度が高いな とか
いろいろ発見があって楽しいです。
今回の展示は
五節の舞姫が中心でした。
源氏物語関係では
五節の舞姫として
出仕するため
舞の稽古に来ている惟光の娘と
夕霧との出会いの場面 ↓
夕霧(右)と
惟光の娘
(後に夕霧の
側室になる)
玉鬘(たまかずら:夕顔の娘)
長谷寺参詣の関係で お坊さんが登場します。
源氏に降嫁した女三宮(中央奥で 就寝中の方)
紫の上の「髪削ぎ」の ために
吉日を調べさせられている 暦の博士(陰陽師)さんとか
長く豊かな黒髪が美人の条件とはいえ
毛先は時々切りそろえるのです。
「切って良い日・駄目な日」があるらしい
『女房の日常』と題して
食事中か読書中?
と思っていた女房さんが
反対側から確認すると
鬘(かもじ:付け毛の事)装着中だったり
宮中仕えのストレスで 抜け毛・薄毛もあって
足し毛は宮仕えする女房達の身だしなみの基本だったそうです
年中行事の『重陽節』
「着せ綿」という 菊の花に綿を着せ、その露で老いを拭う行事。
几帳に掛けられている赤い袋は
「茱萸(ぐみ)袋」
漢方で「茱萸(しゅゆ)」
と呼ばれる実を袋に入れ
身に付けたり
部屋に掛けたりして
その香りで邪気を祓うという物で
実物が展示してあり
匂いも確かめられます。
『乾燥した蜜柑』みたいな匂いでした。
匂いといえば
展示場内は ふわ~んと お香の上品な香りが漂っていまして
聞けば、『平安の雰囲気』をリアルに感じてもらうため
ちゃんと お香を焚いているのだそうです。