宇治にある中国 :黄檗山 萬福寺
小さい頃、親に連れて行ってもらった記憶はありますが
『巨大な木製の魚が下っていたお寺』としか覚えておらず
今回あらためて 再訪問。
これが、大人になってから拝観すると
日本離れした『中国風寺院』 めちゃくちゃ面白いです。
17世紀に日本へやってきた隠元禅師が 日本でお寺を開く際
祖国(中国)の、自分が住職をしていた『黄檗山萬福寺』の名前をそのまま付けたお寺。
名前だけではなく、とことん中国風にこだわった。
【総門】
お寺の一番最初の門
門の上には シャチホコのような魚(マカラというらしい)が ぴょこぴょこ立ち
狛犬のようなものもあり 禅宗のお寺とは思えない賑やかさ。
総門をくぐって右手には 放生池があり ちょうど 蓮が咲き始め。
向こうに見える三門と合わせて『極楽~』な眺め。
三門を入って右に 拝観受付があり
拝観料500円を払おうとしたところ
「今日は13時から 座禅体験ができますけれど、いかがですか?」
と 大変お気軽に 勧められました。
座禅参加料は1000円(その代わり拝観料無料)。
うーん、1度はやってみたかったのですよねえ。座禅。
一緒のメンバーに聞いてみると皆
「せっかくだから、やってみたい」と意見一致。
というわけで
奥の寺務所で 申込手続きすることにしました。
まだ30分以上時間があるので
寺務所へ行くのは15分くらい前として
それまで 寺内を拝観させていただきましょう。
〔開山堂の門〕
通路の敷石は、
ひし形が一直線に並んでいく造り。
一説には
『龍の背中』を表しているとのこと。
【開山堂】
鉢に植えられた蓮が 綺麗に並べられ、ちょうど見頃。
開山堂の欄干。
卍くずし、という中国らしいデザイン。
回廊
記憶に残っていた斎堂の 開版(かいばん)。
木製の魚です。
これを叩いて食事や法要の時間を知らせる。
木魚の原型だそうです。
叩かれている方のお腹部分だけ、
磨り減っているのが ちょっと痛々しい。
さぞ力いっぱい叩かれているのだろうな…
天王殿の本尊は 笑顔全開の金色の布袋様
(布袋様を本尊にするところって珍しいですよね)
大雄寶殿(だいおうほうでん)には、本尊の釈迦如来像を中心に
天然色の隠元禅師像や インド人顔の羅漢像が並び
中でも【羅怙羅(らごら)尊者】像は
お腹を自ら両手で かぱっと開いて 中からお釈迦様の顔が覗いている
という意匠。
中の仏様はともかく
めくられた腹の皮の感じがリアル・・・
と いったところで、そろそろ座禅体験の時間。
寺務所で代表者の名前を記入し
体験料を払って
法堂へ。(禅堂もありますが 一般の人はこちらで行うことになっている)
皆 初体験なので、お坊さんが
座り方・呼吸の整え方・精神の整え方
警策(けいさく)の受け方(の作法)を指導。
【座り方・呼吸】
2枚重ねてある座布団の上の一枚を半分に折り、これをお尻の下に敷く
足の先を太ももの付け根に乗せるように重ね
両足の膝・お尻の3点で体重を支えるようにする
上半身の無駄な力を抜き、姿勢を正して印を組む
眼は半眼、炭田に意識を向け腹式呼吸
…ヨガみたいだなあ、と思ったら
本当にヨガの一種なのだそうです。
そのまま 30分弱。
道場は 涼しく、蚊取り線香が焚かれているのが少々煙たい
(ので、半眼にしていないと眼が痛くなります)他は快適。
心が空っぽになる開放感。
なかなかいいなあ、家でもやろうかなあ と思っていたら
今回ご一緒したお散歩仲間 Aさん Bさんは
A「足が攣った・・・」
B「寝落ちしそうになった」
人によって 感想は様々です。
ここに来たら 買おうと決めていた
梵唄(ぼんばい:中国風声明)のCD。
お土産物を扱う売店で見つけました。
日本の声明と違って、
まず 唐音(とういん)と呼ばれる
原語の発音を
中国語に変換しただけの発音で
( 例:『般若波羅蜜多心経』
→『ポゼポロミトシンキン』 )
これを鳴り物による4拍子にあわせ、
抑揚豊かに唱えます。
鳴り物は、銅鑼とか太鼓・鈴(ベル)などなどの打楽器。
普通の読経と違って、本当に音楽的で楽しいです。
びっくりしたのは、これが萬福寺では
365日、毎日行われているという事。
しかも開山(1661年)以来、350年・・・
だって、朝の4時起床で これが始まり(朝課)
夕食前にまた これががあり(晩課)
更には
夜9時、開枕を知らせるために 太鼓が30分打ち鳴らされるのですよ。
『宇治の里』って、静かな山里のイメージでしたが・・・