十二単着付けと ひと雛が見られる会場は3階ですので体験会場のある2階から上階へ移動します。
コミュニティーセンターである「ひと・まち交流館」は
このイベント以外の関係者の方も利用していますので
目的の会場、見つけるのに時間がかかりました。
1時から始まっていているひいなまつり
3階会場では 貴族文化についての講演があったらしく
到着した1時40分頃は すごろく盤を舞台袖に下げているところでした。
もうちょっと早く来ていたら、遊び方の説明が聞けたのかも。
舞台向かって右手には 既にひな段が造られています。
2時少し前になって 司会の方が次の十二単着付け実演について説明を始め
着付けの先生方が舞台で紹介されました。
解説をしてくださる先生と
実際に着付けを手伝う衣紋方(えもんがた)2名
そして 着付けられるお内裏様役の学生さん1名
早速 着付け(この場合「衣紋」というそうです)の開始。
前衣紋・後衣紋 と 着つける方は、着つけられる方の前後に分かれ
最初から最後まで その位置で作業を進めます。
(後衣紋の人は、次に着ける衣を取りに移動したり、横へ回ったりしますが)
まず、上に1枚着物を付け、袴を穿きます。
お内裏様は 全くその場を動かず、足を上げるだけ
衣紋方が足の下へすべらせるように袴をほどよい位置へ回していきます。
黒い衣を付け、ひだを取り形を整えていきます。
ここまで およそ20分。
昔の平安貴族の人、出勤まで時間がかかっただろうなあ
と 感心しながら眺めました。
ちなみに
男性衣裳の後姿
オナガドリのごとく
長い裾を引いております。
身分が高くなるほど
これは長くなるものらしく
立派な尾羽であるほど
メスにもてる孔雀を
連想いたしました。
もっとも現在では
長さは身分に関係なく
皆 同じになっているそうです。
続いて、女性の十二単。
こちらも緋袴(既婚女性が付ける色)だけの姿で舞台に登場。
ここから
・単(ひとえ)
・五衣(いつつぎぬ)
・打衣(うちぎぬ)
・表着(うわぎ)
・唐衣(からぎぬ)
の順に着物を付け
最後に
裳(も)という
後ろへ引く飾りを付けます。
全部付けると
18kg~25kgになるという衣裳
着つけられる学生さんが
恐れをなして逃げないよう
重さについては内緒にしておくそうな。
単(ひとえ)↓
五衣(いつつぎぬ)
五衣という通り
5枚重ねていく単の着物
今回は紅梅重(こうばいがさね)という色目で
一番内側は限りなく白に近い桃色
重ねるごとに だんだん濃い桃色となっていきます。
五衣を付けたら お次は打衣(うちぎぬ)
萌黄というのか黄緑色の着物を重ね
さらに表着(うわぎ)という
黄色い着物を重ねます。
最後に重ねられる
唐衣(からぎぬ)という
これだけ丈の短い着物。↓
裳は たぶん
ドレスで言ったら
後ろに結ぶリボン飾り的な物
だと思われます。
十二単という名称で
呼ばれることが多い装束ですが
基本「五衣」という名称で
実際 そんなに枚数を
重ねるわけではなく
下着を含めて10枚程度。
(記録では25枚重ねた人が
いたそうですけれど、
これは例外中の例外)
これだけ重ねていても、最終的に着物を止めているのは
1本の紐、という事は知っていましたが
重ねていく途中で 着崩れないのだろうかと疑問に思っていましたら
これ、1枚着つける度ちゃんと紐で止め
次の1枚を重ねて紐で止めたら 先の紐を抜き取る
という作業を繰り返すという事がわかりました。
長年の疑問は解けましたが 大変な作業です。
これまた全部完了するまで30分くらい。
めでたく 衣紋(着付けのこと)されたお内裏様カップル。
この後 「ひと雛」(実物大のお雛様再現)のため
舞台端に設置された雛段へ、そろそろと上がり
最上段にて 三人官女と五人囃子を待たれます。