写経体験:雲龍院
本日のお散歩、最初に行くのは
京都東山 南端あたりにある【雲龍院(うんりゅういん)】。
京都最古の写経道場があるお寺だそうでして
天皇家と縁があるため御寺(みてら)と呼ばれる
泉涌寺の別院となります。
写経ができるお寺は 京都市内 何ヶ所かありますが
こちらでは 京都最古というだけに
・きちんとした作法に則って行う
・一般的な黒い墨ではなく、朱墨を使う
・江戸時代の天皇さまが寄進された文机が現役で使えるらしい
と なかなか興味を惹かれる内容だったのです。
しかも、写経の後 お抹茶とお菓子がいただけるとの事。
お寺が開くのは朝9時から、というわけで
きっちり9時に着くよう 朝7時台に家を出発。
最寄りのバス停、泉涌寺道から坂を上り
ほどなく『泉涌寺』の総門前へ。
門をくぐると まだ坂道は続き
以前拝観している泉涌寺を左に見て 更に奥へ進むと
目的の雲龍院に到着しました。
時間はぴったり9時
門をくぐり右手の入り口から
建物の中に入ります。
写経体験を受付で申し込むと
パンフレットと一緒に
写経の内容説明の紙
後でいただけるお茶接待の引き換え券
を渡されました。
「写経はだいたい1時間から1時間半ほど
お時間をちょうだいいたしますが
よろしいでしょうか?」と
所要時間の確認の後
写経を行う本堂へ。
お寺のご本尊がある
本堂、龍花殿
堂内はもちろん撮影禁止ですので
入口だけ撮影。
障子を開いて正面に
ご本尊の薬師如来さまと
日光月光菩薩が並び
向かって左手手前に
写経前のお清め場所があります。
奈良の薬師寺での写経体験では
香象(象の形の香炉)をまたぎ
丁子を口に含みましたが
こちらでは
丁子を口に含んだ後
塗香(粉末状のお香)を手に塗り
祈祷した水を頭に受け
「お清め」をいたします。
(本来は香象もまたぐはずですが
火事を用心してかこれは省略。)
それぞれ
口・手・心から起こす「良くない事」を戒める意味があり
詳細は最初にいただいた紙に書いてありました。
堂内には 話に聞いていた「天皇寄進の文机」が並び
正座がつらい人のために、椅子の席もあります。
『どこでもお好きな場所でどうぞ』と言われたので
ここはやはり骨董的文机で書くことに。
昔の人サイズなので、かなり低く作られている机は
下に底上げの下駄が履かせてありました。
机の上の筆箱の中に硯と筆が用意されていまして
お寺の方が、中の硯に朱墨を注ぎ入れ
書き方と、書き終わった後について説明してくださるので
無言でうなずいて(丁子を口に入れてからは話しては駄目)
写経開始。
筆は新品を用意してくださるので
先が墨になじむまで 少しかかります。
奈良の薬師寺の写経が
紙の下にお手本の経を敷いて 上から透かし見てなぞるのに対し
こちらは紙にあらかじめ薄く印刷してある経をなぞるタイプ。
薬師寺と同じく般若心経ですが
使われている漢字が あちらとこちらでは微妙に違い
旧漢字で書かれていた文字が常用漢字になっているかと思えば
さらに古そうな旧字体で書かれていたりします。
1時間以上かけて書き終わり
正座で少々しびれかけた足で そっと立ち上がり
一度 お堂の外へ出て休憩。
お堂の正面には
お寺へ来た時右に見えていた勅使門が見えます。
そういえば、写経が終われば口の中の丁子を出して良いのでしたね。
お庭にでも放っておいてくださいと言われましたが
ここに放ってよいものかどうか。
さて、お経を持ち帰っても
持て余してしまうと思われるので
お堂に納めて帰ることにしましょう。
朱墨で書くのは珍しいので
記念に写真を一枚。
書いている時は
線が曲がるーゆがむー
と四苦八苦しましたが
写真に撮ると粗が目立たないものですね。
帰宅後
習字をたしなむ母に
「写経が朱墨だった」と話すと
『赤い字で書くと上手く見えるからね』
と ばっさり切られましたが