お茶で一服:鍵長
引き戸の小さな入り口がありましたので
そこを開けて中へ入ってみます。
すると、通り庭(奥へ伸びる細い土間)があり
その先に 靴を脱いで上がる部屋(奥の間)がありました。
表から見ると新しい建物という印象でしたが
建物の造りは典型的京町家ですね。
奥の間へ行くと
『どうぞ、お好きな場所に座ってくださいー』
と お店の方が声をかけてくださいましたので
坪庭の前の席小さなテーブル席にかけて待ちます。
ほどなく、お抹茶と上生菓子がやってきました。
山芋を使った練きり菓子の「あじさい」と
お薄(お茶は 京田辺の「鶴雲)」のセット。
普通、練り切りは 求肥と餡で作るものですが
こちらは特別、山芋を使っているので
それはもう ふんわりと柔らかく、上品な味わい。
創業祭とはいえ、無料でいただいていいのだろうかと
申し訳なく思うほどに美味しいです。
(後でうかがったら 商品として出すなら500円近いお値段になるとのこと)
お茶をいただいた後
『お時間があれば2階も見ていってください』と 声をかけられましたので
何だろう?と階段を上がっていきましたら
天井いっぱいまでの巨大な工芸菓子作品が。
大きな樽に 四季の花木
向かって奥に
椿・松・梅(冬)
山吹(春)
藤(春)
中央には 楓の木
葉は新緑から紅葉まで
綺麗なグラデーションとなっています。
楓の根元には
牡丹(春)/アジサイ(初夏)/百合(夏)/菊(秋)
手前に真弓(まゆみ)の実(秋)
これ、制作にどれくらいかかったんだろう?と 思ったら
菓子職人のご主人が「7か月」と教えてくださいました。
ちょうど作っている時が藤の花の季節だったので
藤の花だけは実物を見ながら作れたとの事
道理で、藤の花は一際リアルです。
写真は後でまた撮ったらええから
こちらへどうぞ、と呼ばれて 奥へ行くと
そちらには 面白い上生菓子がずらり。
ドラえもんやキティちゃんなど
キャラクターものも珍しいですが
バナナとか蜜柑(しかも皮剥きかけ)というのは
売り物として作らなそうな意匠です。
本日はサービスとして
お客さんの誕生月に合わせた上生菓子を作ってくださるとの事
色とりどりの練り切りで 餡を包んで作ってくださいます。
というわけで
春生まれの私に作ってくださったのが
こちらのバラの花の上生菓子。
さらには お土産に、と
小物(ティッシュケース)をプレゼントしてくださいました。
ポケットティッシュケースをいただいた、と思って持ち帰ったら
中にお干菓子の詰め合わせが入っていてびっくり。
お菓子制作の苦労とか いろいろ職人さんのお話が聞けて
とっても楽しく過ごせました。
鍵長さんでは 和菓子作り体験もされているそうですので
いつか 挑戦してみたいなと思います。
帰り、工芸菓子について
どれが難しいか、という話になり
一見豪華な牡丹や菊は
花びらが多い分ごまかしがきくので
むしろ簡単
シンプルな桔梗(ききょう)や椿の方が
難しいのだと教えていただきました。
ところで
工芸菓子を活けている
下の白い砂状の物は何ですか?
と うかがうと
答えは『砂糖』
え?樽いっぱいのあれが砂糖?
『そう、どのくらい入っていると思う?』
と 言われましても
通常1kgの袋以上の単位で買ったことありませんし
米なら4袋以上要りそうな量ですが・・・
『30kg入りの袋を6個
180kg入ってます。』
180kgの砂糖。
そうそう見られないモノだと思います(工芸菓子以上に)
砂糖は湿気を吸うと固くなるので、
こういう物を固定するには良い素材なのだろうなー
と納得しつつ、お店を後にしたのでした。