普茶料理:萬福寺黄龍閣
時間は 普茶料理予約時間の5分前になりました。
大雄宝殿はまだ入っていませんが、こちらは後で。
今いるのは、大雄宝殿の南側
魚の形の開版(かいぱん)が下がっている斎堂で
お食事をする場所【黄龍閣】はすぐそこです。
入口で手渡された
寺内の建物の見取り図を見ながら
黄龍閣の建物へ。
受付で名前を伝え
予約確認のハガキを提示すると
すぐ、部屋へ案内していただけました。
畳敷きのテーブル席で
既に食器(2つの取り皿と、茶碗)がセットされており
この食器で最後までお召し上がりくださいとの事。
お料理が早速運ばれてきました。
出て来た順に
① 麻腐(まふ):胡麻豆腐
スーパーで売っている充填パック胡麻豆腐だと
いかにも「胡麻です」と胡麻風味が強いけれど
これは 素直に「あ、胡麻だな」とわかる程度で
葛独特のとろりとした食感。
② 浸菜(シンツァイ) :薄味の、季節の野菜のお浸し
赤い器の方は 山菜(わらび)・シイタケ・人参のお浸し
白い器の方は 人参・大根・キュウリの酢の物です。
どちらも ご飯無しでさっぱりといただけます。
③ 箏羹(しゅんかん):季節の野菜・乾物の煮物 と 擬製(もどき)料理
右上から時計回りに
カマボコもどき(長芋に梅風味の衣を付けたもの):味は まんま長芋です。
豆腐の味噌漬け:チーズの燻製のような味
シイタケの旨煮:甘めの出汁で煮た物。素直に煮物としておいしい
湯葉:生湯葉
生麩:たぶん油で揚げてから煮付けたもの。
肉もどき:麩らしき物をお肉風に味付けし、レモンで挟んであります。
食感は肉っぽいけれど味は調味料の味。
ちなみに何の肉のもどきですか?とうかがうと
(鶏肉・豚肉など肉の種類によって材料を変えるらしいので)
ただ「肉です」と。
中央/湯葉で野菜を巻いた物 飛龍頭(がんもどき) 茄子の揚げ煮と肉もどき
:この肉もどきがよくできていました。食感が一番お肉に近い感じ。
材料を聞き忘れたので正体不明ですが、わらび粉かもしれません。
④ 油茲(ユジ) 味付けした天ぷら
左上から時計回りに :紅ショウガ/大根/赤こんにゃく/ゴボウ(?)/リンゴ/レンコン
中央 :サトイモ(緑色のもの)/饅頭
見た目でわかりやすい物、見た目では全く正体不明のものとがあり
眺めて「これは何だろう?」と考えるのが楽しいです。
味の方は
見た目一番わかりやすい紅ショウガ:
生姜なので 味がしっかり。ご飯か、先ほどの酢の物と合わせてちょうど良い感じ。
大根:
薄く出汁で煮てあるのかな?しっとりした食感の天ぷら。
ごぼう?:
見た目食感はゴボウっぽかったのですが、ウドだといわれたらウドかも、
という感じで よくわからず。
風味の強いものでも油で揚げると風味が飛ぶのですよね・・・
サトイモ・饅頭:
食べるまでは 「抹茶衣の白玉と生麩の天ぷら」と信じて疑わなかったので
どちらも食べて
サトイモ 『え?芋?』 饅頭 『甘い~!?』とびっくりした天ぷら。
④ 雲片(ウンペン) 小さく切った野菜を油煎りして葛で煮たもの
下に そうめんを揚げたものが敷いてあるので
揚げそばの中華あんかけ、という感じです。
本来 野菜クズを無駄にしたいための始末料理だそうですが
これは 余ったものではなく ちゃんと材料としてそろえた野菜で。
⑤ 醃菜(エンツァイ) / 季節のご飯(雑穀米?)
漢和辞典で「醃」の字を引くと
「ふたをして塩漬けにする」という意味なので、漬け物なのですね。
しば漬けと、しいたけ昆布の佃煮 ひょうたんの漬物。
⑥ 寿免(スメ) :清湯(チンタン)とも言う
澄まし汁です。具は 梅干しの天ぷらと、唐揚げにキュウリが一片。
梅干しは塩を抜いて 少し甘く味をつけてから衣を付けて揚げたもの
唐揚げは 高野豆腐みたいな食感でした。
⑦ 水果(スイゴ): デザート
茶団子・抹茶羊羹? 果物。
全体に とっても薄味です。
「美味しさ」だけを追求した わかりやすい「おいしさ」ではありませんが
文化体験として、とってもおもしろかったし
材料の一つ一つを大切に料理しているなあ、と感じられ
食べ物を「いただく」事を しみじみ考えさせられました。
これは5000円のコースで
もう一つ上のコースだと、料理の品数が少し増えるようです。
全体にあっさりめの味付けですし品数少なめに感じられますが
『油で揚げた』料理が多いので これで十分、お腹に来ました。
この日の夜から翌日にかけて
自分の皮膚全体から しっとりと油がにじみ出る感じになりましたから
さぞかし たっぷりの油を使っていたのであろうな、と。
これもコースに付いていました。
黄檗の銘が入った
豆粉を使ったお干菓子です。
こちらはお持ち帰りして
自宅で抹茶と一緒にいただきました。
製造元を見たら
これが伏見の酒まんじゅうで有名な
【富英堂】さん。
萬福寺のお菓子
いろんなところから来ています。