ハックルベリー始末記
『ハックルベリー』なるモノを買ってきました。
濃い青紫の、ツルンとしたブルーベリーみたいな見た目ですが
これはどういう物?
「珍しいし、色がきれいで美味しそうだったからー。
ジャムにしたら良いんじゃないかと思って。」
どうする物なのか、調べてちょうだいと言われ
インターネットで検索してみると
ブルーベリー系(野生種)の『ハックルベリー』と
全然別物である『ガーデン・ハックルベリー』の
2種類が存在することがわかり
お持ち帰りしたのは どうやら 『ガーデンハックルベリー』の方です。
しかし
野生種のハックルベリーが ツツジ科で、
「味はブルーベリーに似ている」 というのに対し
こちらの『ガーデン・ハックルベリー』はナス科の「野菜」で、
未熟果には毒性があり(ナス科の植物は毒性のあるものが多いです)
完熟させたものは 一応ジャムにできるらしいのですが
実そのもには甘味も酸味も つまり味らしい味が無く
要するに「小さいナスと思えばよろしい」とありました。
ナスのジャム。 うわ~、おいしくなさそう・・・・・。
というわけで
『味がない野菜なので、ジャムにするなら
他の果物を加えないとおいしくならないらしい』という情報を
購入してきた本人に伝えたところ
山ほどレモンと砂糖を投入してジャムを作成されました。
で、完成したジャムですが
色だけは鮮やかな青紫で、ブルーベリージャムそっくりです。
味はほとんど レモンと砂糖の味(+微妙にナス風味)
パンなどに塗ってどんどん食べればいいのでしょうが
同じジャムを塗るなら、他のおいしいジャムを付けて食べたい
というのが人情というものでして、全然減りません。
そもそも、作った当人が食べたがらないジャム、どうしろと。
ならば焼き込んでしまうのが一番です。
いつぞや スミレの砂糖漬けをシフォンケーキに焼き込みましたが
食べにくい食材は、加熱で風味を飛ばしてしまうのがコツ。
というわけで 調理スタートです。
既にジャムとして砂糖がたっぷり入っておりますから
砂糖は使わず、卵と牛乳、小麦粉(薄力粉&全粒粉)
ベーキングパウダーでパンケーキ生地を作ります。
ここへ ジャムを大量投入。
「これはブルーベリー」と
自分に暗示をかけて
ぐるぐるかき混ぜます。
時々「どムラサキの円盤」が現れ
『ジャムの瓶の中蓋が落ちて
紫に染まった?』と
ぎょっとさせられましたが
これがいくつも出てくるので
ようやく 正体が
『紫に染まったレモンの輪切り』
とわかり
一安心すると共に
レモンの面影の消え去った姿に
ここまで染まるかと感心。
では焼いていきましょう。
蓋をして、表裏焼くこと10分ほど。
一見、普通のホットケーキになったようですが
カットしてみると 断面は見事に紫です。
もともと風味の弱い野菜なので
焼いてしまえば、ナスの風味は完全に消え
ただのレモンジャムのパンケーキになりました。
紫の見た目と味が全然つながらないところが何ともいえません。
これだけ見事な紫の色素を持つハックルベリーです。
ジャムを作る時にも うっかり服にはねようものなら
しっかり染まって、シミになってしまう。
ジャムを使いきって空になったビンを洗おうと
水に浸けておいたらば
中身を ほとんど
かき出してあったにもかかわらず
こんなに鮮やかな
青紫の色水に。
そして
これもまた服に付いたら
染まってしまいます。
最後まで気が抜けない野菜
ハックルベリー。
彷彿とさせますなぁ。 色は変わりませんが(笑
それにしても、すさまじいインパクトのあるビジュアルッ!!