竹裡:亀末廣
竹の皮で包まれた栗むし羊羹らしいのですが
栗のおいしい季節だけという
時期限定のお取り扱いゆえ
タイミングを逃すと、その年は食べられない。
(10月~11月上旬くらいまでらしい)
昨年は、㐂久屋さんの「栗の子」ともども
食べることができなかったため
今年こそ、と この秋を待っておりました。
大納言を買いに来た3月から、ほぼ半年ぶりの亀末廣さん。
いつも入口の引き戸がぴったり閉まっていて
入り難い雰囲気なのに、この日は戸が開け放たれ
ずいぶんと入りやすい感じに。
聞くと、この季節は いつもこうです、とのこと。
お目当ての竹裡、台の上に並んでおりました。
よかった、今年は食べられます。
竹裡
1本 3500円
(お日持ち4~5日)
材料を竹の皮で包んで
そのまま蒸して作り
名前と説明の書かれた
和紙を付けただけなので
「蜜がしみてくるかもしれませんので
ビニールで包んでおきますね」
と、店員さん 包装の上から
ビニールをかけてくださいました。
さて、それでは いただきましょう。
竹皮ごと、2cm幅に切って
食べる時 皮を手ではずしてお召し上がりください、
と 説明が付いておりましたので
ざくざくと 皮ごとカット。
とても立派な栗が入っております。
小豆羊羹部分は
蒸し羊羹と思えないくらい
きめ細かくしっかりした感じ。
蒸し羊羹ではなく
普通の栗羊羹みたいです。
食べてみますと
竹皮の香りがほのかに移り
それは上品な蒸し羊羹。
栗が、風味、食感
問答無用でおいしいです。
そして 小豆羊羹部分が
結構しっかりした食感。
それぞれにおいしいのですが
栗の部分だけ食べると 羊羹部分が食べたくなり
羊羹部分だけ食べると 栗が欲しくなり
両方合わせていただいて完全、という
素晴らしいバランスの和菓子だなあ、と思いました。
羊羹部分が、蒸し羊羹としては初めての食感で
むっちりではなく、ねっとり?
しつこい感じではなく、栗とぴったり合う固さで不思議。
何と例えたらいいのかな、といろいろ考えて
丸寿さんの焼き芋を4~5日寝かせて「芋ようかん化」させるがごとく
栗を寝かせて まるごと「羊羹化」させたらこんな食感になるかも!
と 思いつきました。
それくらい、栗との一体感があるのです。
最初 「1本3500円」は高いかな、と思ったものですが
考えてみれば
【とらや】さんの竹皮包羊羹だって
一棹3000円くらいするのですから
材料へのこだわりや手間を考えたら むしろお安いと言える。
秋をいただいた、という満足感いっぱい。
幸せなお茶の時間でした。