祇王寺
平清盛に寵愛されていた白拍子、祇王(ぎおう)が
母親・妹と共に、出家して住んだお寺だという事です。
落柿舎から さらに北西へ
山へ近づくように進んでいくと
到着。
祇王寺というので
「お寺」だと思って行ったのですが
実際に見てみると
あまり「お寺」には見えません。
門を入っていくと
美しい苔が広がる庭園。
女性らしい、花の多い優しい雰囲気のお庭。
向こうに見える茅葺の建物が
どうやら『本堂』となる庵のようです。
この庵の仏間に
祇王・祇女(妹)・刃自(母)・仏御前
清盛の木像が。
仏間の横にある控えの間には
吉野窓と呼ばれる円形の窓があり
この窓の竹組の影が
虹色に見えることから
『虹の窓』とも呼ばれるそうです。
障子が開いていたので
影は見られず、残念。
庵の南西に
祇王・祇女・刃自さんのお墓がありました。
ちなみに
祇王にまつわる物語を読んだのはかなり昔ですが
確か、こんな話。
もともと
お気に入りの白拍子『祇王』を寵愛する平清盛のもとへ
新人として人気上昇中の白拍子『仏御前(ほとけごぜん)』が
「私の芸を見て下さい」と押しかけ
気乗りしない清盛に門前払いされかける。
↓
祇王のとりなしで、仏は芸を披露できたが
今度は 清盛が仏を気に入ってしまい
祇王が 清盛の元を去ることになる。
↓
その後、祇王に寵愛が戻ることはなく
逆に 仏のために芸を見せに来いと呼び出されるなど
あまりにデリカシーに欠ける扱いを受けたため
祇王は『もう都にはいたくない』と 母妹と共に出家し
今の祇王寺へ移り住む。
↓
清盛に寵愛されるようになった仏御前も
祇王らの不幸を思い、世の無常を感じたと
尼となり、祇王達の元へやってきて仏門に入った。
・・・・・なんというか
『平清盛って、とんでもなく芸術音痴だったんじゃ?』
と思わせる話。
【物語】として悪役性格設定されていたとしても
それが「デリカシー欠如」という辺り
実際そういうところがあって
芸人に嫌われたんじゃないかなあ、と思います。
本当に白拍子としての『芸』を気に入っていたのなら
そういう事はしないであろうと思うし
そういう部分を見せつけられたら
仏御前も
(この人、私の芸を本当に理解しているわけじゃない。
周りが良い、と言うからいいかも、と思っているだけで
祇王さんの姿は 遅かれ早かれ『明日の我が身』)
と 切実に思うであろう…
嵯峨の山寺住まいは
冬は寒さ厳しく 大変ではあったでしょうが
芸術に理解のないパトロンの元に居るよりは
結構、清々した気持ちで暮らせたかもしれないなあ、
などと思ってしまう。
祇王寺の手前に
『祇王の小径』という場所があり
休憩所・お土産販売所となっています。
お抹茶もいただけるようで
お茶に添えられるお菓子は
たぶんここ限定のお菓子「白拍子」。
薄い紙に包まれているのは
2枚の麩焼煎餅です。
「白拍子」の文字と
吉野窓の焼印入り。
一つは白蜜、もう一つは味噌なのかな?
黒糖かと思ったけれど、
お醤油っぽい風味を感じました。
どこの和菓子屋さんのものかなあ、と見てみたら【千本玉寿軒】さんでした。
『金閣寺』でも「金閣」という 金閣寺限定のお菓子が
千本玉寿軒さんで作られていますし
金閣があったら 銀閣もあったりして
と思ったら本当にあって、友人がおすそわけしてくださった
これも千本玉寿軒製
探せば「そのお寺限定の和菓子」、千本玉寿軒さん製が かなりあるのかも。
千本玉寿軒さんが そういうのをお得意としているというより
千本玉寿軒さんだからこそ、信頼されて
そういう依頼が多いのかも、と思います。